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「まさか貴方がドラゴンを召喚し、悪魔と戦うとは思いませんでしたよ。今日は運悪く赤い月の夜……悪魔の力は強大になっている日だったのに」
フロージア様は僕に優しく微笑んでからフェノロサを見た。
「それも召喚したのは力のあるドラゴンを。貴方は本当に凄いわ。ドラゴンは誓約するために召喚した場合は尋常じゃない魔力を消費するのよ。
大抵の人は魔力が尽きてしまうくらい」
フェノロサを撫でながらフロージア様は話し続ける。
「でも貴方の魔力は尽きなかった。そして悪魔に立ち向かう。そんなに魔力が残っていることは奇跡に近いわ……」
フロージア様は僕を見つめた。
僕にはそんなに魔力が秘められていたなんて。
信じられなかった。
「ホント、母親に似て……」
「え?」
僕はフロージア様が呟いたことを聞き取れなかった。
だけどその時のフロージア様の表情はとても寂しげで、僕の胸を締め付けた。
「フロージア様……?」
「何でもないわ」
フロージアは僕に優しく微笑んだ。
「フェイア、三日後……私の研究室へいらっしゃい。その時に話があります」
「話……ですか?」
「えぇ。それまでは私も忙しいですから。それに貴方も休まないといけないですしね。三日後の朝、必ずいらっしゃい」
それだけ言うと、フロージア様はローブを翻し、壊れた召喚場を後にした。
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