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「……貴女の息子は立派に育ったのね」
フロージアは本を開き、一枚の紙を眺める。
その紙はフェイアがここに来た時に名前を書かされた紙。
しかし、名前の欄には『フェイア・ウィルヘルム』ではなく、『フェイア・フェイレス』と書かれている。
「名を見たときは驚いたわ。まさか、生きていたなんて思わなかったから。あの時、貴女とロイさんと一緒に死んでしまったと思ったの。
でも、こうして会えるなんて。ファーの弟子となってここに来るなんて……貴女が導いているの?」
その紙をしまい、別の本を取り出す。
それには写真が沢山貼られていて、フロージアはパラパラとページをめくっていく。
そして、ある写真が貼られているページで手を止めた。
「貴女に似て、すごく魔法の素質があるわ、彼。この一年で貴女のようにマスタークラスまで昇りつめるのかしら……ねぇ、リリム……」
その写真を指で愛おしそうになぞりながら、フロージアはぼそりと呟いた。
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