第1話

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「こ…ここで飲んでっても良い?」 少しだけ冒険をして聞いてみた。 「駄目」 先生はまたパソコンの前に座り、私を見て言った。 「…そっか」 やっぱり…ね。 その黒髪に授業や仕事をする時の眼鏡。そして背も高くて容姿端麗。なのにどんなに女子生徒にキャーキャー言われても、しれっと表情1つ変えない。 私なんかその、キャーキャー言う女子生徒の1人にしか思われてないんだろうな。3年間も思ってるのは私ぐらいなのに…。 「お前がいると煙草吸えねぇからな」 私がしょぼんとなっていると、先生がそんな事を言った。 「あ…」 そう。先生は煙草を吸う。でも生徒がいる時は絶対に吸わない。 「別に私の前では吸っても良いのに」 「俺は女の前でしか煙草吸わないんだよ」 女の前… 「って私も女ですけど」 私は苺ミルクの紙パックを握りしめ先生に言う。  
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