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「まだ立ち上がるか。その心意気は認めよう。だが、負けてやらん」
大の大人が大人げなく大きく胸を張る。
エレンの左腕と両足は、人のモノに戻っており、左腕に関しては力が入らないのか、だらーんとしている。
一度立ち上がったエレンは、下を向いたまま何かぶつぶつと呟いている。
「次で最後にしようか、少年?」
ロイターンは再び槍…?を構える。
十分な溜めを取り、エレンの反応を待った。
そしてずっと下を向いていたエレンが、顔を上げた時。
風が吹いた。
突風などではなく、柔らかい風。
笑っていた。
エレンは優しくほほ笑み、強気でこう言い放った。
「次で、俺の勝ちです」
その言葉をロイターンは鼻で笑うと、動いた。
「はぁぁぁぁぁぁあ!」
さっきまでと変わらない一直線の攻撃。
エレンは動かない。
否、動けない。
両足は血だらけで、ボロボロ。
動けるはずもない。
三メートル。二メートル。
一メートル。
ウルル、リファは目を逸らしその他の人も厳しい表情。
そして、零メートル。
ロイターンの槍はエレンに突き刺さる。
その時この決闘は、終わった。
ガスッ
エレンの渾身の右。
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