夏の終わりと新たな始まり

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入って来たのは、左からマグナグ、ティル、ロイターン、その後ろにレイネル、そして右にローズとロギネス。 「あー起きたか、少ねっっっててっ、わかった。わかったから」 エレン達には何が起きてるかわからないのだが、ロイターンの後ろに立っているレイネルの笑顔が怖い。 今にもロイターンを後ろから、左手に持っている中華鍋で殴りそうな勢いなのは、誰にでも解る。 しっかり尻に敷かれてるらしい。 ロイターンは人差し指で額を掻いていたが、後ろからの殺気が強くなると、覚悟を決めたかの様に真面目な顔になった。 そして、その場に立っていたマグナグ以外が、方膝をつき頭を下げロイターンが代表して言った。 「少年。いや、エレン・ファウベル。今までの暴言、卑劣な行為、そのすべてをここで詫びよう。すまなかった」 それが誠の言葉だとすぐに解る。貴族がたかが平民一人に方膝をつく。 それがどんな屈辱的な行為か。 エレンは慌てて言った。 「頭を上げて下さい。大貴族の当主お二方に、頭を下げられる様な事ではありません。」 それを聞いた五人は頭を少し上げ、エレンの顔をみた。 エレンはその言葉の後に、それに。と付け足し再び口を開く。 「それに、もう良いんです。そんなこと。ただ、あなたとの、ロイターンさんとの戦いが楽しかった。今はそれだけです。本気で戦ってくれてありがとうございました」 そう、笑顔で言った。
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