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「や、やめてください!」
学園からの帰り道、何となく立ち寄った商店街の大通りを抜ける途中にそんな声が聞こえてきた。
辺りを見渡すと、ガラと頭の悪そうな二人組に絡まれてる女の子。
「連れないこと言わないでさぁ、一緒にお茶くらい良いっしょ?」
「君の方からぶつかってきたんだよ?それくらい付き合ってくれたっていいじゃん?」
「で、ですからさっきから何度も謝ってるし、お誘いもお断りさせて・・・」
これはまた・・・厄介なのに捕まったようで。
その成り行きを見て見ぬふりをする通行人。
誰も助けようとはしない。きっと自分以外の誰かが助けるとでも思っているのだろう。
我が身が可愛いから、リスクを冒してまで人助けはしたくない。そんなところだろう。
俺もそうだ。中途半端な正義感に駆られ、巻き込まれるのはごめんだ。それこそ面倒くさい。
面倒くさいのだが・・・
「いいじゃん、別に。それでチャラにしてあげるって言ってんだぜ?」
「そうそう、それに・・・俺達が優しくしてる内に言う事聞いといた方がいいと思うなぁ。」
「・・・・・」
黙り込んだ少女の腕を掴み、強引に連れて行こうとする二人。
「やっ!誰かっ・・・!」
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