8人が本棚に入れています
本棚に追加
/170ページ
『……本当、殺してやりたいよ………好きだ』
「きゃっ!?」
俺は恋華と繋がる手を自分の方に引くと、恋華を両腕の中に納める。
……見つめ合うくろとあおの瞳。
「……」
「……」
心地よい沈黙の中、俺は先に瞳を閉じた恋華の唇にそっと自分の唇を添える。
春風が俺達を包み、桃色の雨がそれに吹かれて絡み付く。
……だけど、もう俺はその桜の花びらを疎いと思うことはなかった……。
〈終〉
最初のコメントを投稿しよう!