夢想への鍵

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美しく白く輝く大きなボルゾイ フワフワだけどシャープな感じ 私にもただの犬じゃないのはわかった なんだろ? 思考が麻痺してるのかな あまり恐くはない 逆にただの犬だとしたら恐いだろうな 形は犬でも話は通じると私はなぜか直感できた 「なんだ‥‥お前?」 「不躾な小僧‥‥名でなにを証明する?ただの興味ならまずは名乗るものだ‥‥憶えておくがいい」 ボルゾイからふんわり風が流れてる ピシッ!と窓に亀裂が走る 「地獄育ちでね、教養はねぇが殴りっこなら得意だぜ?」 何?喧嘩するの? ちょっ‥‥ちょっと? 私を忘れてない? 「小僧‥‥指1本でもこの私に触れると思ってるのか?」 ボルゾイの周りの壁が外側に押しつけられ膨らんだように見えた 「あんた‥‥俺に舐めた口利いて指1本で済むと思ってるのか?」 「試してみるがいい‥‥そして次は本当の地獄に落ちるがいい‥‥小僧」 どっちを見たらいいんだか 亀裂が入った窓にはまるで卓球の試合をみてるような私が映ってる ボルゾイの周りのアスファルトが捲れ上がり天井に音を立てて貼りつく 「吐いた唾飲むなよ、犬野郎!」 フワッと浮いたリッパー 私の髪が爆風を受けたように後方へ引っ張られる 急いで振り返ると空中で反転し天井を走りボルゾイの上から飛び込んだ ギャリギャリギャリッ!と空中に火花と嫌な音が響き渡る キンッ!とリッパーのナイフが折れる 「結界か!‥‥その色はたしか‥‥」 「言ったはず‥‥指1本とな‥‥不躾な小僧」
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