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しばらく海岸を歩かされ、痛みを我慢しながらついていくと、目の前に大きな船が現れた。
マストの上にドクロの旗が風に揺れている。
予想どおり、海賊だったようだ。
「頭~!お頭ぁ~」
船は岸につけられていて、船員は船に数人しかいないようで静かなものだ。
「んっだぁ~るっせぇ~なぁ~」
こちらの海岸には大きな岩があり、その上に寝転がっている人物が不機嫌そうに声を出す。
顔に帽子をかぶせていて顔は見えない…。
「まぁ~たてめぇか、バク!!いい加減にしろぉ~。そろそろ捨てるぞてめぇ~」
顔を見たわけではないのに子分がわかるようだ。
「待ってくださいよぉ~。今日はいい土産持ってきたんすからぁ~」
「土産?」
その言葉に興味を示して体をノッソリ起こす。
「まぁ~たくだらねぇもんじゃねぇ~だろうなぁ!?」
ヒョイと帽子を顔から退ける。
こちらも日に焼けて浅黒い肌をしている。
だが先程バクと呼ばれた男と違い(こいつは下っぱらしく品のない顔付き)、容姿もよく貫禄もうかがえる。
髪は漆黒のように黒く、頬に傷があり、瞳が赤い。
「違いやすよ~。ほらこいつです!向こうの浜で拾いやした」
拾得物かよ。
人を物扱いしやがってぇ。
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