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「悪かったな。だが靴はどうした?それもあいつの所為か?」
親指を立ててバクを差す男。
その向かうで勢いよく否定の意を示して首を横に振るバク。
ひどい目に合わされたが、俺じゃねぇ~よぉ~という必死なまなざしを向けられたので仕方なく首を横に振り素直に答えを返す。
「たぶん嵐の海に呑まれたときに脱げた」
「あの嵐で海に呑まれた!?お前、よく無事だったなぁ~」
そりゃあ~、来たばっかだし。
「にしてもラッキーだったなお前。俺の船がたまたまここに寄ってて。ここにゃ人は俺ら以外いないようだしな」
「海賊…なんでしょう?」
海賊に拾われたことはラッキーなのだろうか…。
「死ぬよりマシだろ」
ガハハハ。
豪快に笑う。
確かに、ごもっともな意見。
“捕虜宣告”をされたが、悪い海賊ではないようだ。
海賊は略奪者(お宝見つけてゲットだぜ~←つまりもらっちまうぜ)が基本だから悪人のが多いのだが。
「お前、自分の容姿に感謝しろよ!ブスなら捨てて行ってたぜ」
ヒョイと抱き上げられる。
「ふぇッ!?きゃあ」
「暴れるな。落とすぞ」
急に抱き上げられたら、誰だって驚くっての!
言うとおりにおとなしくしている。
逆らって海に捨てられても困るし。
それにさっきから…この人に会ってからずっと左手の甲に例の紋章が出ていた。
紋章は私以外の人間には(基本)見えない。
これが出ているということは、この人に関われってことを意味していた。
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