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「お前どこの出身なんだ?」
船にあがる橋(板がかけてあるだけのもの)を登りデッキに着く。
「わからない……」
記憶にヒットしない。
つまり必要がないのか…。
この海賊と共に行動しろ、ということなのかもしれない。
「わからない……って記憶ねぇのか?じゃあどぉするよ。送っていってやることもできねぇなぁ~」
デッキから船内に入る。
いくつものドアがあり、それぞれ役割のある部屋ばかりのようだが、私は船長室に連れこまれた。
「とりあえず足の手当てだな」
部屋には机と、ベッドが置かれていた。
私はベッドの上におろされる。
部屋には連絡用の筒がいくつかあり、そこに直接的話すことで通話ができるようになっている。
簡単に言えば糸電話の機械版とでも思ってほしい。
これを“伝声管”と言うものらしい。
「おい、カガミを呼べ。急がせろ」
そこに命令すると、もう一つの筒から返事が聞こえてくる。
「もうしばらく我慢しろよ。いてぇだろうけど」
それほどもう痛みはなかったが、わざわざ抱き上げてまで運んでくれたこの人に申し訳なくて、言わないことにした。
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