一章

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  竜牙は光に靴を履かせ、ドアを開けた。 ―ガチャ 「…うわっ…お、お客さん?…と光?」 ドアの前に少年が立っていた。 「拓海兄さん…」 「おお、光…こいつは誰だ?」 拓海と呼ばれた少年は竜牙を指差す。 「…えっと…」 「オレは相禅 竜牙だ。 ついでに言えば光の婚約者だな」 「婚約者だと…」 ‘婚約者’という言葉を聞きくと声を低め、竜牙を睨む。 「僕は安藤 拓海(アンドウ タクミ)。光の兄みたいな者だ。 お前は何故光を連れて行こうとする?」 「言っただろう? オレは光の婚約者だと」 竜牙は光を連れ、家の前に停まっていた車へ乗り込んだ。 「待て!」 拓海の停止の言葉は届かず、車は発進した。 「…くそっ……光…」  
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