一章

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  それはある日のことだった。 ―トン、トン、トン 光は友達と別れ、目の不自由な人が使う棒で道を叩きながら、いつもの帰り道を歩いていた。 ―トン、トン、ト… 「ん?」 後ろからやって来た車が光の横で止まる。 ―バタン 中から誰かが降りて来た。 「会いたかった… 向かえに来た、オレの花嫁」 フワッと抱きしめられる。 「え?…え?」 光は突然のことに理解出来ない。 「ど、どういうことですか? とりあえず…は、放して下さい」 「スマン、おめぇに会えたことが嬉しくてな」 「は、はぁ… ところで貴方はどちら様ですか?」 「オレか? オレはおめぇの婚約者だ」 聞きなれない言葉に思わず叫んでしまった。 「こ、婚約者ぁ!?」  
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