第1話~出会いという名の再会~

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第1話~出会いという名の再会~

「……………」 照りつける強い日差しに、凄い勢いで体力が奪われていくのが分かる。 元々、都会っ子の俺には、この日差しは拷問以外の何物でもなかった。 ……正直ぶっ倒れそうだ。 とはいえ、周りを見渡せど休めそうな場所なんかない。 木陰はあるにしても、休むには気温的な意味で熱すぎた。 水辺はないかと探してみるが、生憎木ばかりでそれらしき物はなさそうだ。 「……どうすっかなぁ」 長時間、直射日光を浴びたせいか、異常に熱を持った頭を掻きながらボヤく。 ったく、親父の妹はいいとして…せめて駅まで迎えに来てほしいもんだ。 「……よい、しょっ…と」 鞄を持ち直し、再び歩き出そうと足を踏み出した時だった…。 ――もしかして…。 道の脇。急な下り坂になっている獣道の向こうへと踏み込んでいく。 「くそ…!歩き、辛いな…」 草に足を取られそうになりながらも、少しずつ降りていけば……そこには。 「やっぱり、川だ…」 水の透き通った川があった。 鞄を適当に置き、疲れも一時忘れて川へと走り出した。 ……冷たくて気持ちいいな…。 ジーンズを膝まで折り、足を水面に浸しながら、生き返った心地に思わず頬が緩んだ。 その時だった。 「あれ?」 「ん?」 数時間ぶりに聞いた人の声に振り向く。 そこには、1人の少女がいた。 ……俺と同い年か、あるいは下か。 長い黒髪を腰まで落とし、白のワンピースを身に纏った少女は、俺を足から頭まで見渡すと…。 「この辺りじゃ見ない人だね」 「っ!?」 真夏の太陽もかくや、という笑顔を俺に向けた。 その不意打ちに、思わず息が詰まった。 いや、しかしそれ以上に感じたのは…。 ――なんだ?この光景、覚えがある…。 既視感…とでも呼ぶべき感覚に襲われていた。 「…?大丈夫?」 「ぇ?」 「顔色、すごく悪いよ?」 そう言うと、彼女は俺に近付いてきて…。
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