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ふと気がつくと知らない男の人が私の手を握って、部活勧誘の波を抜けていた。
「大丈夫ですか、お嬢さん?」
「あの、えと……」
「あ、俺菅原比奈太(ｽｶﾞﾜﾗ ﾋﾅﾀ)ね。吹奏楽部の部長してまーす」
「えと、蔭梨日向です…」
「あれ、俺と名前一緒じゃん!すげーっ!」
「は、はい…」
こ、この人何だろう…。悪い人ではなさそうなんだけど…。
「ねね、どんな字書くの?」
「あの、日に……向かうで…日向…」
「へぇー…。俺は比べるに奈と太いって書くんだー」
「そ、そうなんですか…」
「日向ちゃんさ」
「え!!?」
名前を呼ばれた瞬間菅原さんから思いっきり引き下がった。
「いや、名前読んだだけでそこまで後退りしなくても……;」
「ご、ごめんなさい…」
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