決意そして再会

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オッサンの名前は陶辰(トウシン)、黄巾賊になる前はこの近くの町で百姓をして普通に妻と息子の三人で暮らしていたらしい。 しかし町の刺史が突然変わると税が高くなって切り詰めて生活しても百姓には到底払える額ではなく何度か抗議に行っては殴る蹴るの暴行をうけて追い返されていた。 そしてある日少しでも収入が増えるようにと妻が作った莚を遠くまで売りにいき夜遅くまで仕事をして家に帰ると家の中は真っ暗でいつも笑顔で駆け寄って 「お帰りなさい。」 と飛びついてくる息子や家の奥で料理をよそってくれている妻が見えなかった。 心配になって慌てて家に入ると服がズタズタに引き裂かれてほとんど何も着てないような状態の妻が泣き崩れていた。 妻に話を聞くと役人がきて税が払えないなら息子を売れと言われ嫌だと抵抗すると暴行をうけたらしい。 妻は必至に涙を流しながら耐えていたが見ていられなくなったのだろう息子が自分から役人に願いでて連れていかれたらしい。 オッサンはそれを聞くとキレて家を飛び出し刺史の住む町役場みたいな所に火をつけて迷惑がかかるからと町から逃げ出し食い物もなく野垂れ死にするぐらいだったらと黄巾賊になったらしい。
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