タカシの物語

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『うん、みんな元気だよ。今はみんなすやすやと眠っている。雨が降るとみんな眠たくなるんだ』 そこまで言って僕はあることを思い出した。 『そう言えば、あのこと考えてくれた?』 あのこと……と彼女は思案に暮れるようにつぶやいた。 『新しく生まれた襟巻きトカゲの赤ちゃんの名前だよ』 彼女はああ、と思い出したように相づちを打った。 『単純だけど……襟巻きトカゲだからエリちゃんっていうのは?もしくはマキちゃん』 『それじゃあ、マキちゃんで』 僕は即答した。 そのことに彼女も少し不思議そうな顔をした。 『斎藤エリっていう子がいたんだ』 僕はそれだけ言った。 『その子のことが好きだったの?』 違う。僕は言った。 『好きとかそういうのじゃなく憧れだったんだ』 そう言い、僕は中学時代にその子に3年間恋憧れていたけど結局一言も話せなかったことを話した。 どうしてそんな事を話しているのかも分からなかったけど僕は当時の気持ちに帰り、その虚しさと儚さを語った。
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