タカシの物語

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マキちゃんは、やはり、眠っていた。 彼女は、その寝顔を見て、可愛いと呟いた。 僕が部屋から出ようとしても彼女はマキちゃんに夢中だった。 今度触らせてあげるよ、と言おうとしたがさすがに怖がるかなと思い止めておいた。 夕飯は彼女が作ってくれた。 俺も手伝うよ、と言ったが、彼女は、大丈夫だから向こうでテレビを見ていて、と僕を諭した。 まるで何かみられたくないものでもあるのか彼女はこそこそと料理をしていた。 『出来上がり』 彼女は言って、ご飯をついで持ってきた。僕のご飯はいつだって彼女の二倍はあった。まるで昔ばなしに出てくるご飯だ。 彼女は『メインディッシュ』 と言って、僕の前にその料理を差し出した。 『ねえ、これ何だと思う?』 そう聞かれ、僕はその料理に目を向けた。 なんだろう? とりあえず、色は黄緑色をしている。 香ばしい香り。まず、目にしたことのない料理だった。
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