ユミの物語

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夏の空気はどこか、寂しげで、それでいて心地いい。 頬を優しい風がかすめて、肩まで伸びた髪の毛をふわっと浮かばせた。 約束の一時まで、あと十分もあった。学校へは平気で遅刻をしていく私も、こういう約束は絶対に守っていた。まぁ、ポリシーってやつ?よく分かんないけど。 待ち合わせの場所は一度どうしても行きたかった新装のカフェにした。 この雰囲気がいい。カプチーノを一口すすり唇についた泡を舌で舐めた。 「それにしても、一体どんな子が来るんだろう」 私は期待とも似つかない気持ちでそんな事を考えた。 もちろん、どんな子かは大体聞いている。 私の知る限りあげておこう。 通称、青猫。二十歳 職業はお花屋さん(彼が言うには、そんな可愛いものじゃないらしい) 趣味は、ドライブ、映画。最近はサーフィンもかじっているらしい。 身長178 体重66 まぁ、聞き出せたのはこの程度。 もちろん、私に彼氏がいるのは内緒にした。 だって、彼氏がいるのに会ってくれる人なんていないじゃない。 私は別に恋人が欲しい訳じゃない。今の彼氏に愛想が尽きた訳でもなく、かと言ってもう初恋のような刺激がある訳ではない。 ちょっとばかしの刺激があればいいかな~なんて、その時は呑気に考えていた。
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