ユミの物語

5/8
前へ
/16ページ
次へ
彼は、上品に椅子に座ると、持っていたサボテンをテーブルの真ん中に置いた。 それが、あまりにもしっくりとこの雰囲気にあっていたから、おかしくて再び私は微笑んだ。 「はじめまして、青猫です。本当に来てくれたんですね」 言って、上品な笑みを見せる。なんだか、大切に育てられたんだろうなーと無意識のうちに、そんな事を考えていた。 私の方も、軽く挨拶を返す。 「こちらこそ、はじめまして、ミユです。」 由美を逆さまにして、ミユ。それが、チャットの中の私の名前。 「まさか、本当に来るとは思ってなかったからびっくりだよ。それに、想像以上に綺麗な人だからどうしよう?困ったな」 言って、後頭部の辺りをかいている。 それが、お世辞なのか本心なのか分からないけど、私は、ありがとう、と頭をさげた。 注文は彼がして、間もなくランチのセットが運ばれた。 ウェイトレスさんが、テーブル上のサボテンをやたら気にしていて少し焦った。やはり、目印はもっと違うものにしたら良かっただろうか?
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加