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可愛いサボテンだな、と思った。
それを彼に言うと、途端笑顔になっていろんな事を話してくれた。
あぁ、この人は本当に植物が好きなんだなぁ、と微笑ましく思った。
植物の事を話す時が一番いい顔をしてる。私はぼんやりとその顔を眺めていた。
「あれ、やっぱり退屈だったかな?ごめんね、俺、この話になるとすぐ熱くなっちゃって」
彼は苦笑いをして、ホットを一口含んだ。
「ん~ん、すごく楽しい。それでいて、あこがれるっていうか。私、そんなに熱くなれるものないから。だから、正直に青猫さんが羨ましい。お願い、もっと聞かせて」
彼は、そうだな―、と言った後海の中の植物について話してくれた。
周りから見ればきっと恋人同士にでも見えるのだろう。けれど、私の気持ちは違った。
目の前の彼を見ているようで本当は全く違った所を見ていた。
海の中の話を聞きながら、「ああ、そういえば、昔はよくカイとも行ったな」なんて事を考えていた。
どうせなら今、このカフェにカイが偶然にでも入ってくればいい、なんて突拍子もない事を考えた。
そしたら、日常は今以上に動き出すだろうか?
カイは、「寂しかったろ?」そう言って私を抱き締めてくれるだろうか?
分からない。
分からない。
分からない...
けれど、分かる事も一つだけある。
彼は、今日が付き合って、三年目の記念日だという事を、
もう、
忘れちゃったんだ...
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