一章‐転校生‐

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衣玖斗「鬼頭さん」 鬼頭さんは二度目の呼びかけにも反応しなかった。 つまり、無視しているのだ、俺を。 少しいらつきながらも再び呼びかける。 衣玖斗「鬼頭さん?」 しかし、また無視された。 さらに、いらいらが積もる。 衣玖斗「聞いてんのかよ!?鬼頭さん!」 怒鳴るように呼んでしまって、少し悪いような気がした。 だが、どうせまた無視されるのだろうからどうでもいいことだ、と思った。 しかし、予想外にも言葉が返ってきた。 魅月「ねぇ、鬼頭って呼ぶの、やめてくれない?」 その時、初めて気付いた。 鬼頭という名字のせいで変な噂がたっているのだから、当然鬼頭と呼ばれるのは気持ちのよいものではないだろう。 衣玖斗「あ…悪い。じゃあ…」 魅月「魅月でいいよ」 衣玖斗「あ、ああ。じゃあ魅月、少し聞きたいことがあるんだが」
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