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稲川さんがニッポン放送の、深夜のラジオ番組に出演していた頃の話しである。
当時稲川さんと仲が良かった人で番組ディレクターの東さんという人がいた。
彼が稲川さんに
「淳二、一緒に帰らないか?」
と誘ってきたのだ。
というのも、稲川さんは当時国立に住んでおり東さんは小平の辺りに住んでいたので方角はほぼ同じだったのである。
そして車は当時開通したばかりの中央高速道路に向かって走っていた。
高速道路に乗っても、深夜なので行き交う車はほとんどいない。
道路灯も完備されていなくて辺りはほとんど真っ暗だった。
稲川さん達の車の、前にも後ろにも車はいない。
二人は普段から気の合う友達ということもあり、雑談に花を咲かせていた。
「淳二、油揚げはな、こうやって食うとうまいんだぞ。」
「やだな~、東さんは。アハハ。」
しばらく走っていた頃だ。
三鷹を少し過ぎた辺りだろうか、道路脇の塀の上に道路標識らしい丸い物が立っていた。
(あれ?珍しいな・・・。)
その頃中央高速には標識はほとんど立てられていなかったのである。
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