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「し…信じられない…」
アルバートは改めてミルを凝視する。
(どう見ても10歳過ぎからよくて13歳にしか見えないぞ…)
アルバートは首を傾げる。
「奴隷だからな。満足のいく食事は与えられていないだろうし、睡眠時間も短い上にバラバラ、ましてや日光にもたまにしか当たらない…これじゃあ無理もないだろう」
オックスの言葉にアルバートは半信半疑ながらも納得した。
「確かに…有り得ない話でもないか」
壊れれば取り替えるという奴隷だ。
満足のいく食事を与えて、十分な休息を取らせて…など、考えてくれるはずもない。
なるべく金は使わず、奴隷を安く使役する。
取り替えられる消耗品という扱いなら、そうするのが普通だろう。
「そうなると…さらに酷いな」
話を聞く限りではミルが今生きていること事態が奇跡のように思えてくる。
「しかし…俺は奴隷ってもっと違うイメージを持ってたな」
アルバートは突如そんなことを言い出した。
「違うイメージ?」
ミルが問い返す。
「なんか…こう…女は男の酒とか夜の相手をさせられるっていう…」
「ああ、娼婦のことか?」
オックスがアルバートの言いたいことに気付いて言う。
「そう、それだ。そんなこともやらされるのかと思っていた」
その意見にはオックスも同意したのか頷いた。
しかしミルは浮かない表情でそのイメージを一瞬にして拭い去った。
「私達奴隷には娼婦の役目すらもくれないのよ。私達は汚れた物…娼婦達にさえ罵声や唾を吐かれる立場なのよ」
その言葉を聞いて、二人のイメージは一瞬にして払拭された。
「娼婦が買っているペットでさえ…私達より扱いが良いんだから…」
ミルは拳を握り締め、怒りを堪えている様子だった。
「と…とにかく、話を戻そう」
このまま脱線し続けるのはまずいと思ったオックスが、話の進路を戻しにかかる。
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