腕時計

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裕也の手に握られた細い腕時計。 香奈へのプレゼントとして、心を込めて選んだものだった。 「なんでこんな事に……」 裕也の瞳から流れ出す涙。 まだ一度も手を繋いだ事もない。 そして、そっと呟いた。 「俺の願い……」 握り締められていた時計は、微かな音をたてて時を刻む。 「香奈」 裕也の瞳からこぼれ落ちた、一粒の涙が腕時計を濡らす。 するとそれは一つの魔法なのだろうか? 時計が逆回転を始めた。
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