Chapter1

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「…………っ!!」 まとわりつく恐怖を振り払うように、俊敏な動作で後ろを振り返る。 あるのは、通常ならば人が入り込めそうにない、鬱蒼とした茂み。 その奥は、街灯の光さえ届かない、真っ暗な夜の闇に包まれている。 「………………」 しん…と静まり返る広場。 遠くの方で、噴水の水音だけが微かに聞こえてくる。 心臓の動悸が嫌に激しい。 いつの間にか呼吸が乱れていた。 暗闇に満ちた茂みを、じっと凝視する。 感じていた筈の視線は、いつの間にか消え失せていた。 しかし、気配は依然として残っている。 騒がしい街中の喧噪から、いきなり夜の田舎道に切り替わったような、不自然な静けさ。 修学旅行で、巡回の先生の足音に驚いた生徒たちが、一斉にお喋りを止めて、慌てて布団に潜り込んだ直後の――――そんな、白々しい静寂。 いる。 目には見えない。 視線も感じない。 けれど確かに、この広場には、自分以外の誰かが潜んでいた。 ぞわぞわと這い上がってくる、得体の知れない悪寒。 その不気味さに身震いする。 ………どうする。 思い切って、あの茂みの中を探ってみるか。 それとも、何も気づかなかったフリをして、今すぐこの場から立ち去るか。 僕は―――――――  
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