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因みに僕は、半袖のシャツにジーンズという、この上なく普通な格好。
キャンプにお洒落してってもしょうがないし。
何よりこだわるのがめんどくさい。 正直、着れればなんだって良いのだ。みっともない程度なら。
「それにしても…結構参加するんだなぁ……」
受験で忙しい三年と、凄まじい量の課題に追われている一年に関しては、ほぼ不参加。
よって大半は追試を逃れた二年生なのだが、百人を優に越えてるってとこがスゴい。
ウチの学年は現在、A~Eまでの五クラス(四月の事件により生徒が“行方不明”になったり、転校したため)、総勢二百名。
学年全体の半分が参加しているとは驚きだった。
お喋りに勤しむ人混みを掻き分け、一足先にバスに乗り込む。
冷房の効いた涼しい空気が、僕の到着を歓迎してくれた。
心地よい冷風に自然と頬が緩む。
車内には、既に二人の幼なじみの姿があった。
「くーちゃーん、おっはよぅ!」
「……よぉ、祐。」
「おはよ。 相変わらず早いね、二人とも」
補助席に立ち上がり謎のポーズを決める奈央と、隣で非常に眠たげにしている健介と挨拶を交わす。
「あたぼうよぅ! ワクワクドキドキハラハラな夏の一大イベント! 期待におっぱい膨らませた私は、なんと朝の四時からバスが来るの待ってたのだっ」
ぺたんこな胸を精一杯張る奈央。
期待に胸を膨らませ、と言いたかったのだろう、多分。
期待だけでバストがアップしたら、世の中の女の子は苦労しない。
「………お前が何時に起きようと勝手だがな。 早朝にヒトん家のチャイムを連打すんのだけは勘弁してくれ」
「…付き合わされたの? 朝四時から?」
「お陰様で寝不足だ。 コイツが家に来やがったのは朝の三時過ぎだったから、実質二時間も寝てない」
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