Chapter2

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「散々てなに!? 綾瀬さん、僕を女誑しの下郎みたいに言うのやめてくんないかな、まったく身に覚えがない!!」 「違うの?」 「違うっつってんだろ!」 「…これはこれは。 是非とも教えないと。 鈴っちに。 面白おかしく」 「……かつてない邪悪なオーラがにじみ出てますよ、見晴さん」 「うわーんだぜ!! オレ、センパイに見捨てられた……魔法少女なのにッ!」 「めんどくせえなあオィ!? どこだ、どこから突っ込めばいい!」 「あはははは、くーちゃんサイテー!」 「だああああ!!」 頭をかきむしる。 酷くない? この集中砲火。 みんな僕になんの恨みがあるんだよ。 一斉に突き刺さる冷ややかな視線に、どうして良いかわからず途方に暮れる僕。 このままではキャンプが始まる前に、社会的に抹殺されかねない。 「――――ふふふふ~、ようやく見つけたですよ~?」 そんな困り果てたところへ、ひどくゆったりした声が、唐突に割り込んできた。 「げっ」 「あ、戸山さん」 長い銀髪の、のんびりした雰囲気の少女。 「いつもニコニコ笑顔、しかしその本性はとても腹黒く、卑劣極まりない。 盟欄学園を影から牛耳る恐怖の生徒会長、戸山天螺先輩だった」 「考えてるコトが全部口に出てるですよ? キミはケンカ売ってやがるですか?」 にこやかに言いつつ、銀髪の生徒会長は俊敏な動作で硝霞の背後に回り込み、彼女を羽交い締めにしてしまった。 「やれやれ、間一髪。 ピンクちゃんは、手間かけさせやがる後輩ちゃんですね~」 「は、離せっ! オレだってちゃんとキャンプ申し込んだじゃねえかよー!」 手足をじたばたさせてもがく硝霞だが、戸山さんの拘束はびくともしない。 すげぇ。 狩人の腕力押さえきってるよ、あのヒト。
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