Chapter2

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というか美鈴。 この炎天下の中、それだけのプリンを保冷剤も無しに持ち歩くのは少々危険かと。 向こうには冷蔵庫なんてないだろうし。 巨大なビニール袋には、色とりどりのプリンの容器が、はちきれんばかりにギッシリ詰め込まれている。 まさか、バスの中で全部食べちゃう訳じゃあるまいな…? そんな、彼女ならリアルでやらかしそうな不安に、ため息を吐こうとして。 ふと、美鈴の真っ白なうなじが、視界に飛び込んできた。 ドキッとする。 そこで初めて、彼女が珍しい服装をしていることに気づいた。 黒い薄手のタンクトップにショートパンツ、サンダルといった、如何にも夏を感じさせる涼しげな格好。 これという特徴のない、ちょっと近所のコンビニに出かける時のような、ごく普通の服装。 だが、剥き出しになった肩とか太ももとか、普段の美鈴からは想像もつかない程に、それは普通の女の子な服装だった。 …そう言えば、僕って美鈴の私服姿、全然見たことなかったかも。 いつも学校の制服だし、病院のときはナース服だったし。 あとはファミレスの制服や、いつかのゴスロリファッションくらい。 改めて見る普通な服の美鈴も、なかなか良いかも知れない。 「……タスク、どうした…?」 口いっぱいにマシュマロを頬張った美鈴が振り返る。 膨らんだほっぺが可愛らしくて、自然と笑みがこぼれた。 「なんでもないよ。 それよりまだ出発しないのかな。 時間、もう大分過ぎてるけど」 本来の集合時間から、既に二十分が経過している。 「くーちゃーん? C班のヒト全員揃ったぁ?」 「いるよー! 美鈴に見晴さん、水仙に綾瀬さん、みんなちゃんと来てるよ。 誰かまだ遅れてるの?」 班員が揃ってることを伝えると、奈央は困ったように首を傾げた。
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