Chapter1

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―――夏は女を開放的にする。 梅雨が終わる頃になると、雑誌やテレビ番組やらで頻繁に見聞きする、実際本当なんだかどうかよく分からない情報。 少なくとも、僕はそんなの嘘だと思ってた。 開放的になるのは性欲盛んな若者たちなのであって、そこには男も女もない。 僕のように健全な男子(←ここ注目)からすれば、全く関係のない話だ。 加えて、僕の周囲には常時解放型の幼なじみや義理の姉、自称魔法少女……等々エトセトラエトセトラ。 常に歯止めの効かない強者共がわんさかいらっしゃる。 開放も何もあったもんじゃない。 だから、そんな言葉は雑誌やテレビ番組のお約束文句に過ぎない、自分には無縁のモノだと。 そう思っていた。 確信していた。 疑うことすらしなかった。 甘かった。 ファミレス『blood』の夏期限定メニュー“ナマハゲクリームサンデー”(¥990)よりも甘かったのだ。 夏は女を開放的にする。 この夏。そのコトバが真実であることを、僕は身を持って実感することになるのだった。
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