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―――夏は女を開放的にする。
梅雨が終わる頃になると、雑誌やテレビ番組やらで頻繁に見聞きする、実際本当なんだかどうかよく分からない情報。
少なくとも、僕はそんなの嘘だと思ってた。
開放的になるのは性欲盛んな若者たちなのであって、そこには男も女もない。
僕のように健全な男子(←ここ注目)からすれば、全く関係のない話だ。
加えて、僕の周囲には常時解放型の幼なじみや義理の姉、自称魔法少女……等々エトセトラエトセトラ。
常に歯止めの効かない強者共がわんさかいらっしゃる。
開放も何もあったもんじゃない。
だから、そんな言葉は雑誌やテレビ番組のお約束文句に過ぎない、自分には無縁のモノだと。
そう思っていた。
確信していた。
疑うことすらしなかった。
甘かった。
ファミレス『blood』の夏期限定メニュー“ナマハゲクリームサンデー”(¥990)よりも甘かったのだ。
夏は女を開放的にする。
この夏。そのコトバが真実であることを、僕は身を持って実感することになるのだった。
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