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◆【interlude】◆
嗚呼。
私はなんて幸せなんだろう。
色素の薄い真っ白な自分の手を引く、彼の大きな手のひらの温もり。
彼がいて、亜弥っちがいて、小沢祐君がいて、クラスのみんながいて。
そして、鈴っちがいて。
私なんかのことを“仲間”と呼んでくれた彼ら。
同じ存在として、対等に接してくれたクラスメート。
私を友達と言ってくれた、鈴っち。
初めて出来た、トモダチ。
独りぼっちだった私は、今、大勢の“友人”たちに囲まれている。
温かい。
とても、温かい。
ふと、違和感に気づく。
口元にそっと手を当てると、私は笑っていた。
あの日―――もう思い出すことすら出来ない、遠い昔の記憶。
笑顔を忘れてしまった私に、こうして再び、自然と笑える日が訪れようとは。
信じられなかった。
もしかしたら、夢でも見ているんじゃないか。
目が覚めたら、そこはいつもの、あの暗い暗い、座敷牢の中にいるのではないか。
そんな錯覚に捕らわれてしまうほど、今の私は満たされていた。
気が遠くなるくらいの、それこそ、永遠とも思えるほどの歳月。
七歳の誕生日。
全てを失ったあの日。
忌み子と蔑まれ、光の差し込まない、冷たい座敷牢に追いやられた私。
唯一の灯りは、蝋燭の微かな炎だけ。
一日に三度運ばれてくるだけの食事。
ボロ布同然の薄い毛布にくるまり、来る日も来る日も、寒さを凌いだ。
やがて私は、お日様の光も、温かいという感覚も、そして他者と触れ合い、笑い合う尊さも忘れていった。
両脚を拘束具で繋がれ、全ての自由を奪われた私は、ただ無為に時間を過ごしていくだけの存在だった。
それが、どうだろうか。
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