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目の前に広がる光景。
笑顔と温もりに満ちた“日常”。
確かに此処にある幸せを噛み締め――――しかし、と現実に引き戻される。
膨らんでいた風船が、ぱちん、と弾けてしまったような感覚。
そう。
こんな幸せな日常は、きっと長く続かない。
だって………私は、バケモノだから。
みんなとは違う。
欲望を抑えきれず、抗えども抗えども、最後には堪えることができなくなる。
食欲にも似た衝動に突き動かされ、本能の赴くままにヒトを、光を求め、他者を喰らう。
この前だってそうだ。
公園にたむろしていた、十人ほどの他校の生徒を襲ってしまった。
そんなことを回想していると、不意に、ある欲求が湧き上がってきた。
私の手を引く、彼。
メガネをかけた、線の細い顔立ちの少年。
そんな大好きな彼を食べてみたら、一体どんな味がするのだろう。
きっと、最高に美味なんだろうな。
…食べて、みたい。
だけど、そんなことはできない。
――――ああ。
こんな私を、皆が知ったら。
私が人殺しだと。
人間に害を及ぼし、ヒトを喰らう“獣”だと知ったら。
彼やクラスメートは。
鈴っちは、どう思うだろうか。
それでも、こんな私を、皆は友達と呼んでくれるのだろうか…?
不安と罪悪感に苛まれながら、私はそっと空を仰いだ。
◆【interlude out】◆
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