771人が本棚に入れています
本棚に追加
そりゃそうだよ。さらう予定は成功したが、相手が違うわけだし。
「えっと……。どちらに向かったらいいですかね?」
せっかく喋ったのだから、再び沈黙になるのは避けたい。
「……どうしよう」
彼女は考え込み、嫌な沈黙が再び訪れてしまった。
しかし、こうも美人だと年齢もわからないものなんだな。
俺より上かな。
わりと落ち着いてるし、27歳ってとこだろう。
根拠はある。俺より落ち着いているから、25歳ではない。26歳じゃ俺と大差がないし、28歳じゃいきすぎ。
よって、27歳確定。
完璧な推理だ。
「あの、貴方の家に連れていってくれません?」
「はい。……は、はいぃぃぃ?」
妄想中にお願いされたら、何も考えられないでしょ。
うっかり素直に返事をしてしまったじゃないか。
「こんな格好じゃ、どこにも行けないんで」
きっぱりと言い切られると、断る事が間違いな気がしてくる。
超オンボロの格安アパート。6畳一間の俺と歩美ちゃんの城。
そこに他の女を入れたくない気持ちはある。しかし、ウエディングドレスを着た女子をつれ回すこともできない。
仕方ない。俺の城に招待することにしよう。
自分のテリトリーに戻れば、もう少し頭も働くだろう。
最初のコメントを投稿しよう!