誰ですか?

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そりゃそうだよ。さらう予定は成功したが、相手が違うわけだし。 「えっと……。どちらに向かったらいいですかね?」 せっかく喋ったのだから、再び沈黙になるのは避けたい。 「……どうしよう」 彼女は考え込み、嫌な沈黙が再び訪れてしまった。 しかし、こうも美人だと年齢もわからないものなんだな。 俺より上かな。 わりと落ち着いてるし、27歳ってとこだろう。 根拠はある。俺より落ち着いているから、25歳ではない。26歳じゃ俺と大差がないし、28歳じゃいきすぎ。 よって、27歳確定。 完璧な推理だ。 「あの、貴方の家に連れていってくれません?」 「はい。……は、はいぃぃぃ?」 妄想中にお願いされたら、何も考えられないでしょ。 うっかり素直に返事をしてしまったじゃないか。 「こんな格好じゃ、どこにも行けないんで」 きっぱりと言い切られると、断る事が間違いな気がしてくる。 超オンボロの格安アパート。6畳一間の俺と歩美ちゃんの城。 そこに他の女を入れたくない気持ちはある。しかし、ウエディングドレスを着た女子をつれ回すこともできない。 仕方ない。俺の城に招待することにしよう。 自分のテリトリーに戻れば、もう少し頭も働くだろう。
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