誰ですか?

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そう言えば、歩美ちゃんをさらった後についてはノープランだったな。 俺ってば、ウエディングドレスのままどこに行くつもりだったのだろう。 家にお茶菓子が無かったなとか、麦茶の水入れたっけとか、いかがわしい本を隠したかなとか……そんな事を考えているうちに、俺の城に到着してしまった。 車を停め、素早く辺りを見回す。 誰もいないのを確認し、これまた素早く部屋の鍵を開けた。 そしてさっさと新婦を部屋に押し込め、もう一度辺りを見回した。 大丈夫だ。誰もいない。 扉を閉めると、新婦が部屋の真ん中に凛と立っている。 何だこの見慣れない光景は。 「ここが……あなたの家?」 珍しそうにキョロキョロと見回している。 ごく一般的な6畳一間。 風呂とトイレは別だし、収納力抜群な押し入れがある。その分、一般よりやや上かもしれない。 「あ、はい。そう……ですが」 オンボロアパートにウエディングドレス。まさかのコラボレーション。 ボリュームのあるスカートで、部屋が埋もれてしまいそうだ。 「凄い……。話には聞いたことはあったけど、本当にこのような家に住む人がいるんですね!」 彼女は目をキラキラと輝かせ、満面の笑みを俺に向けた。
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