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今、さりげなく馬鹿にされたような気がする。
だが、表情だけ見ると……喜んでいるようにも見える。
「いやぁ、それほどでもないですよ」
とりあえず、後者の印象に返事をしておこう。
「決めました!しばらくここで、ご一緒させて下さい!」
両手を胸の前でポンと叩き、さらにいい笑顔を俺に向けた。
ご一緒。ご一緒?
しばらく?
「はい?」
「ええと……。しばらくここに住んでいいですか?」
いくら美人でも、そんなお願いが聞けるわけもない。ここは、歩美ちゃんとの愛の巣だ。
「無理です」
単刀直入、直球ど真ん中。そして即答。
「え!?どうしてですか?」
どうして?……そう。『どうして』だ。
そもそも、この状況に至るまでに『どうして』と思える部分が多すぎる。
小さな頃から、どんな些細な疑問も徹底して調べてきた俺。
そんな俺にとって、『どうして』だらけの今の状況は気持ち悪くて仕方がない。
「そんなとこ、この歳になりゃわかるでしょ。とりあえず……。座ってお話でもしません?」
今すべき事は、状況を把握し、最善の道を見付けることだ。
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