誰ですか?

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もちろん、クスノキグループだって知っている。 就職活動の一発目で華麗に落ちた企業だしな。 「ねぇ、結婚って何?お互いに好きで、必要だと思うからするものでしょ? あの人が私なんかと結婚するわけぐらい、私でもわかるのよ。 私、恋がしたいの。自分で選んだ道を歩きたいの。 自由って何かを……感じたい」 俺は全然別なことを考えていたわけだが、彼女はお構い無しに気持ちをぶちまけた。 エキサイトしているのだろう。敬語が消えている。 しかし、そんな事より俺の立場が危ういという事実に気付いてしまった。 いいとこのお嬢様。最上級の箱入りで、超ド級に過保護なお父様だと予測される。 そんな娘を、俺はさらってしまった。 「ま、ままままままままずくね?俺、誘拐犯になってんじゃ!?」 カスミの気持ちよりも、自分の身の安全が重要だ。 見事なまでの焦りっぷりに、カスミもキョトンとしている。 そして、人差し指を顎にあて、少し考える素振りを見せた。 「……ありえるかも」 「どっ!どどどどどうしよ!嘘だろ?」 まぁ、彼女が冗談を言うタイプには見えないし。 何より、その『お父様』と家柄を考えれば答えは見えてしまう。
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