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「約束が……大学を卒業したら家を出てもいいという約束が、私の支えだったのよ?
お父様。私は約束は破らないし、屁理屈も言わない。
一度でいいから、自分で決めた道を歩いてみたいの。
一年……。ううん、半年でも3ヶ月でも構わない。
お父様の顔に泥を塗る行動をしたのは、申し訳ないと思ってる。
でも私……」
喋りながらも、器用にノートに文字を綴っている。
『約束通り、家を出れるだろ。結婚するのだからだって!屁理屈もいいとこだわ』
達筆で、尚且つ漢字までバッチリだ。
内容的には、たしかに屁理屈のように感じる。
「えぇ。いいわ、わかった。私、お父様を信じるわよ?また嘘を言うなら、本当に失踪するわ」
そう言うと、携帯電話を俺に突き出した。
「え?え?」
もしや、俺と話をさせろという流れ?
「切りました。源太さん、これからお付き合い頂きます」
お願いではなく、命令らしい。
「どこに!?」
「お父様のところに」
カスミの闘争魂に火がついたのだろうか。
先ほど、申し訳なさそうにしていた姿が消えていた。
俺、どうなっちゃうんだろう。
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