ちょっと待った!

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俺は度胸のない男だし、歩美ちゃんに甘えてばかりの情けない男。 そんな俺でも、歩美ちゃんは毎日『大好き!』と言ってくれた。 そんな歩美ちゃんが、ある日突然別れを告げてきたのだ。 そりゃもう、俺ったらビックリ。 結婚しようって言ったじゃん!って喉まで出かかったけれど、言えなかった。 歩美ちゃんが涙を堪えながら、事情を説明してくれたからだ。 簡単にまとめると、歩美ちゃんの親が勝手に決めた結婚なのだ。 親の出世と借金うんぬんの絡みもあるらしいが、魂が抜けていた俺にはほとんど理解できないさ。 唯一理解したのは、歩美ちゃんは結婚したくないと思っていることだけだ。 そこまで理解したのにも関わらず、俺はあっさりと身を引いてしまった。 それに後悔したのは3日後。 歩美ちゃんの携帯が解約されたことに気付いてからだ。 それまでは夢を見ているような感覚だったのが、一気に目が覚めた感じ。 二度と話せない、会えないと思った時に、事の重大さと自分の不甲斐なさを痛感した。 だが俺は、歩美ちゃんの実家は知らない。 携帯一つ変えられただけで、俺と歩美ちゃんの関係は永遠の終わりを告げてしまったんだ。
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