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もう一つ、学に言えない事がある。
それは25年の人生の中で、何もかも初めての女が歩美ちゃんという事だ。
昔は、女より友達と遊んだり、自分の事を一番に生活するのが楽しかった。
モテないというのもあったけれど、そこまで『彼女が欲しい!』と思ったこともない。恐らく俺は、変わり者の部類に入るのだろう。
だから、歩美ちゃんから求愛された時は正直戸惑った。
どう対応していいかもわからない。
だが、熱心な姿勢に、いつしか俺も歩美ちゃんに恋をしていたんだ。
ちくしょう。
恋愛ってなんて素敵なんだ!
喜びは二倍になり、悲しみは二分の一だ。
彼女の喜ぶ顔を見るのが俺の趣味になり、歩美ちゃんが居たから二人でいる幸せを知れた。
『結婚しようね!』といつも言っていた歩美ちゃん。
別れを告げた時の、寂しそうで悲しみが溢れた瞳。
全てをトータルし、学の話を聞いた俺は決意した。
君をさらう。
何かの映画や小説のように、ドラマチックに君をさらってやる。
そして二人だけで幸せになろう。
歩美ちゃんが居てくれたら、俺は何もいらないんだ。
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