出会い

2/12
前へ
/21ページ
次へ
広い広い荒野。 一本の道。 道に添って木々が並んではいるが、 回りを見渡せど、建物もなく。 目につく物は 草木、岩、 いつ通ったのか解らぬが、うっすらと馬車の跡があるだけで 歩めど歩めど地平線が続く。 人陰もなく、動物の気配すらない。 辺りは静まりかえっていた。 そんな場所に 一人の男が岩に腰掛けている。 今から戦にでも行くのだろうか、高価そうな鎧をみにつけている。 位の高い武将なのだろう。 横には、この男が乗っていたのであろう馬が待機していた。 毛並みも艶も、その辺の馬とは違う。 黒毛の美しい馬である。 男は誰かを待っているようだ。 果てしなく続く道の先を見つめている。 男『ふむ…急ぎすぎたか。』 待ち人が未だ来る気配がない事を悟ると 今度は来た道とは逆の方を見つめて 男『急がねば…村人が危険だ。………ん?』 道の先に何かを見つけたようだ。 男は馬を引いて その場所へ歩みよる。 近付くにつれ、それが何かが分かる 男『…人?…死んでいるのか…まさか村人が…?』 男は倒れている人に近付くと息があるか調べてみた。 息はある どうやら気を失っているだけのようだ。 性別は男。まだ若い 元々は白であったであろうボロボロの布を身に纏い、全身を隠していて 目の部分しか見えない。 男「……おい。」 ペチペチと頬を叩いてみるが返答はない。 すると 遠くから何頭もの馬の激しい足音が聞こえてくる。 こちらへ向かってくるようだ。 男『淵が来たか。』 淵「お~い!惇にぃ~!!!」 惇の傍までくるなり 唾が飛びそうな早口で訴える。 淵「惇兄ぃ!ひでぇじゃねぇかぁ置いてくなんて!俺らの馬じゃ惇兄の黒坊(馬)に追いつける訳ねぇんだ!」 惇「すまんな、つい急ぎすぎた」 惇の冷静な返答に 大きく深呼吸をして少し気を落ち着かせ 淵「焦る気持ちはわかるがなぁ… 一人で乗り込んだところで、村人達は救えねぇんだからよぉ。」 淵という男、 惇と同様に 高価そうな鎧を身に纏っている。 武将であろう。 背中には弓矢。腰には細身の剣。 その後ろには7人の武士が並んでいる。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加