出会い

8/12
前へ
/21ページ
次へ
惇「さて…俺達も作戦に移るぞ。」 辺りは一気に静まりかえり、 真っ赤な夕日は、階段を降りるようにゆっくりと沈んでいく。 惇達は二手に分かれ息を潜めた。 村を入って左手の民家の屋根上で 淵と3人の部下が 伏せて身を隠し 中央広場に向かって、弓矢の標準を合わせていた。 村を入って右手の馬小屋には 惇と4人の部下が扉の隙間から外の様子を窺(ウカガ)っていた。 こちらの部下の手には大きな剣や長い槍がある。 青年を乗せたままの馬は 他の馬と並び、牧草を食べていた。 惇はゆっくりと青年に目を向ける。 惇「いつまで寝たふりをするつもりだ?」 急に声をかけられた青年は 一瞬驚いたが、 馬からピョンと飛び降りて 余裕のような表情を作った。 青年「気付いてたのか。争いが始まったら、騒動に紛れて抜け出そうと思ってたけど…その必要はなくなったようだ。」 青年は扉の方へ足を進めたが、惇が「待て」 と呼び止めた。 惇「お主も戦ってはくれぬか?」 その一言に驚いた表情で惇を見たかと思うと、次第にその表情は怒りに変わり はや歩きで惇に近付きながら 青年「今、何て?!何故俺が持った事もない武器を使って戦わないといけないんだ!!」 青年は惇の目の前に立ちはだかると、言葉を続けた。 青年「勝手に巻き込みやがって!俺にはこの村の為に命の危険をさらす理由はない!!」 惇「…………。」 惇はピクッと何かの音に反応し 扉に目をやると扉の隙間から顔を覗かせた。 惇や淵には聞こえたようだ。 何十もの馬が駈ける激しい音が近付いてくる音が…。 惇「安心しろ。その理由がお出ましだ。」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加