第4章 新しい時代

9/10
前へ
/66ページ
次へ
西暦2012年12月21日 今、水平線から朝日が昇り、12月21日の朝が来たことを告げた。夜が、開けたのである。そして、“それ”は、静かに始まった。 海底地震が、ついに発生したのである。太平洋や、大西洋といった、世界中の海底で。マグニチュード10クラスの巨大な海底地震は、殆ど同時に発生した。そして、それによって生じた津波は、千メートルあまりにまで成長し、陸地に迫った。人類滅亡のタイムリミットが始まったのである……。 《あかつき》艦橋 「巨大津波発生! あと1時間あまりで陸地に到達! カウントダウンを開始します!」 艦長の貞本義一(さだもと よしかず)が、そう叫んだ。それと同時に、艦橋に設置されていたカウントダウンのタイマーの数字が減り始めた。残り、01:30:58、01:30:57……。 「ついに始まったか……」 湯浅は、思わずそう呟くと、拳を握りしめた。 東京 「いつつつ……」 と、海江田は、頭を手で押さえながら、立ち上がった。さっきの揺れは、かなり大きかった。これは、先の東京湾北部地震の余震などではない。それとは別の、巨大地震である。 海江田は、研究所にいた。後片付けをしていたのである。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加