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頬に触れる唇から直に伝わってくる、真次の心。癒すような、労るような……どこまでも優しい、真次の感情。 それは、今までに感じたことの無い、未知なる感情……。 出処の明らかでない不安が湧きあがり、綾の体を浸食していく。 「ヤメッ……」 いいよれぬ不安に弾かれたように、綾はとっさに両手で真次の体を突き放す。 「綾?……」 真次の声にハッと我に返る綾。 真次も困惑したような瞳でこちらを見ている。 自分でも解らない……どうしてとっさに真次の腕を振りほどいてしまったのか。 何が、嫌だったのか? 何が、怖かったのか? 本当は抱き締める腕の中の心地好さに、ずっと抱き締めていて貰いたかったのに……。
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