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でも、もしそれらを全て失ってしまったら?
「俺は卑怯だから…お前がこうやって俺を受け入れてくれる事を知ってるから、それに甘えてる……」
こんな弱い自分を、真次が何時までも受け入れてくれるハズが無い。
「軽蔑……するだろ?」
きっと何時か、嫌われる。
血の繋がった実の両親にさえ疎まれたのだから……。
だから、いつしか求めるのをやめた。
自らの心を閉ざし、もう誰にも裏切られないよう、信じることをやめた。
「軽蔑だなんて……そんな事する訳無いだろ、だって……」
そう言うと、真次はその大きな掌で綾の頬を包みこむと、そっと綾の唇に自分の唇を重ねる。
「……んっ………」
伝わってくる、真次の心。
『だって、綾の事が大事だから……好きなんだ』
綾のうるんだ瞳が見開かれる。
突然の口付けに驚いたからだけでなく、そこから伝わる真次の感情に驚く。
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