遠い昔

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「じいちゃん」 私や兄がそう呼ぶとじいちゃんはいっそう嬉しそうに笑った。 「こんかい、はよ」 家ではいつもじいちゃんがそう言った。 共通語で言うところの『こっちに来い、早く』的な意味の言葉。 そう言いながらじいちゃんは自分の膝の上を指す。 兄と私はジャンケンしてじいちゃんの膝の上を取り合った。 じいちゃんのことが兄も私も大好きだったから。 自分達の家に帰る時、じいちゃんもばあちゃんも庭に出て私達に手を振ってくれた。 離れるのが嫌で兄と私は泣きながらじいちゃんとばあちゃんに手を振った。                                      
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