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次の曲を入れていなかったのか、画面にはオススメ曲が流れる。
「……もう、ぷこにデブとか言うな」
トムがエナちゃんに何かを言っているけど、テーブルを挟んで向かい側に座る私には聞こえない。エナちゃんは一瞬表情を暗くし、すぐに戻した。
「もう何言ってるんですかあ。エナ、そんなこと言ったことないしー」
バシバシとトムの肩を叩くエナちゃん。あまりの勢いに、トムが傾いた。
「さ、茶番はこれくらいで。悔しいけどぷこはボーカルだわ」
――ぷこ。
エナちゃんにそう呼ばれて、なぜだか嬉しくなる。
「ショウくんに近づくためにバンド組もうと思ったけど、一番狙って組むわ」
エナちゃんはデンモクで流れる音楽の音量を小さくする。
「ぷこ、楽器できる?」
「さっぱりだね」
「ショウくんはギターだよね?」
押され気味に、トムが頷く。
「エナはベースやるから」
「おー、ベースできるの?」
「だって美人がベース弾く姿って絵になるでしょ?」
「なるなる」
トントン拍子に物事が進む。
――てか私、参加しなきゃいけないみたいだね……。
「ま、ドラムはどこかのバンドから連れてくるよ。エナ、人気者だから」
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