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エナちゃんがいかに人気者か、よくわかった。カラオケに行った翌日、遅れずに学校に着くと、トムの周りに人だかりができた。
「お前いつ、あの水川江奈と知り合ったんだよ」
「ショウくん、とか呼ばれてマジうらやましい!」
「代われー代われー」
ただでさえ人と話すのが苦手なトムが、人に囲まれ質問責めにあい、死にかけている。私に助けの視線をチラチラ送ってくるけど、ええ、私には無理です。だって、
「ねえ、あの子態度悪すぎない?」
私も質問責め……というより、悪口責めにあっているから。
「エナちゃんはあれが持ち味なんだよ」
「でも風子にあんなこと言うなんて……」
そういうハッキリ言わない方が、ずいぶんタチ悪いよ。
「本当のことだし。私は気にしてないよ」
ははは、と笑うと、クラスメートの女子は渋々口を閉じる。
「風子が……言うなら」
「ご心配ありがとう」
エナちゃんったら、女の子の敵を作りやすいのね。クラスでうまくやってるのかなあ、なんて、少し心配になった。
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