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向かった先は、モール内にある楽器屋さん。一区画にたくさんの楽譜が置いてある。
「曲、決めるよ」
エナちゃんは手近にあった楽譜を手に取り、パラパラめくる。私も真似して、楽譜を手に取った。
――楽譜なんて、小学生のときにリコーダー吹いたときに見た以来だ。
音符の羅列が、何を意味するかも解らない。
「ショウくんは普段、どんな曲を弾いています?」
「……洋楽」
「却下」
エナちゃんは楽譜を置き、また別の楽譜に手を伸ばす。
「エナたちは一番になるんだから。一般の人が楽しめる楽曲を選ばなきゃ。エナ目当ての人も楽しめる楽曲をね。うまいだけじゃダメダメ」
「私、最近のJPOPあまりわからないよ?」
「CD聞いて、わかりなさい」
ピシャリと言われ、それもそうだと納得する。
「2曲くらいかな。今回参加者多いだろうから、割り当てられる時間は少ないよね」
――エナちゃん、すごい考えているんだ。
感心してしまった。やっぱりエナちゃんはいいなあ。好きだ。
「よし、これにしよ」
エナちゃんは楽譜をトムに手渡した。
「ショウくんの実力をエナに見せて」
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