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「……どうよ」
ひと通り弾くと、エナちゃんは髪をかきあげた。ツインテールも似合うけれど、ただ下ろしている髪型も可愛いなあ。
「言うほど上手く」
「上手だった! エナちゃんすごいね!」
余計なことを言おうとするトムを遮り、拍手をする。エナちゃんは一瞬、子どものように素直に表情を崩したが、すぐに戻す。
「あ、あったり前よ」
楽譜にはたくさんの書き込みがあり、指にも小さな傷がちらほら。いっぱい練習したことがうかがえた。
――やっぱりエナちゃんはすごい。
私の口元はゆるむ。まだ短い付き合いだけど、エナちゃんは頑張る子だと思っていたから、余計に嬉しかった。
――トムもエナちゃんを、きっと好きになる。
大好きな2人が付き合ったら嬉しいなあ。ぼんやりと思った。
「次はショウくん」
エナちゃんはその場に座り、トムにバトンタッチ。トムは頷き、ギターを弾いた。
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