track 4

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 CDを何度も聞いて覚えた歌。楽譜は読めないから、耳で覚えた。ちょっとくすぐったい歌詞に、ロックな曲調。普段ゆったりとした曲ばかり聞いていたから、新鮮だった。  トムのギターが、私の中にすっと溶け込む。ロックなのに、私を包み込むような優しい音色を感じるのはなぜだろう。 ――たのしい。  歌うことが、たのしいと思った。 「……ぷこ」  曲が終わり、ぼうっとしている私の頭をトムが撫でる。 「あ、ごめん。浸ってた」  トムを見上げ、苦笑い。すっかり歌うことに夢中になっていたなんて、ちょっと恥ずかしい。 「ちょっと、2人の世界に入らないでくれる?」  エナちゃんが楽譜を丸め、手の上でポンポン叩く。 「これは盛り上がる曲だから、もう少しテンポ早く歌えるように。ちょっと遅かったわよ、ぷこ」 「わかった」  片手をあげ、エナちゃんの言葉に頷く。 「ショウくん、いつまでぷこの頭撫でてるんです? 髪フェチ? 変態? それともす」 「べ、別に」  畳み込むようなエナちゃんの言葉を、慌てて遮るトム。その手は私の頭の上からいなくなった。
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